書評 ふりかえり読本 実践編 ~型からはじめるふりかえりの守破離~ #技術書典 7
技術書典 7 で発売される、ふりかえり読本の最新刊「実践編」を森一樹さん(@viva_tweet_x)から早めに頂きました。
ありがとうございます!
今回も素敵な仕上がりになっているので、私の感想も交えて紹介させていただきます。
内容紹介
ふりかえり導入の4つのパターン
ふりかえりを始めることに前向きか・後ろ向きか、ふりかえるために十分な時間を取れるか・取れないかで4つの導入パターンが紹介されています。
そもそも、ふりかえり始めたくてもどう始めていいのか分からない。という状況もあると思うので、このパターンの提示はたいへん助かるのではないでしょうか?
この本を購入できるようになるまで少し時間があるので、事前にチームメンバーがふりかえりについてどう思っているのかをヒアリングしておくと本書を読み進めながらイメージトレーニング出来るので良いかもしれません。
ふりかえりの守破離
守破離の概念の説明と「守」を実践する上で大切なことが示されています。
注意が必要なのは、Webサイト上に載っている情報はほとんどが「情報の発信者の現場のコンテキスト(環境や背景など)に合わせて(発信者も意図しないままに)カスタマイズされた情報だということです
私も、このコンテキストの違いは「守」を実践する上で非常に重要だと思います。
書いてあるとおりにやっているのに、うまくいかない場合はこのコンテキストの違いを認識せずに実践していないか確認するのは大切です。
そんなときは、ふりかえりのふりかえりをやってみるのも良いのではないでしょうか?
森さんがふりかえりのふりかえりについても記事を書かれているので、是非参考にしてみてください。
(ここまではお試し版で読むことが出来ますよ!)
実践しやすいふりかえりの型
本書では8つのふりかえりの型が紹介されますが、いずれも使いやすい型になっています。
これは、ふりかえりの型としていろいろなコンテキストで使えるようにするために、アクティビティ単位ではあえて破をすることも示してくれているからだと思いました。
たとえば、「短期間をふりかえる」でKPTの進め方のコツが紹介されていますが、前述の通りKPTの破の仕方が示されます。
最後のポイントは、「Keep、Problemの意見が多く、意見が割れている場合は、Tryを出す前に絞り込む」ことです。
続けてこの破をどのような状況で実施するべきか、目的は何であるのかも続けて示されます。
Keep、Problemの意見が多く、発散している状態でTryをしようとすると、どうしても個人の思いが強い、部分最適になりがちなTryが挙げられがちです。チームにとって特に大切で、伸ばすべきKeepは何か、解消すべきProblemは何か、というテーマを一度ドット投票によって絞り込んでから、絞られたテーマに対するTryを検討するとより効果的です。
ここで示される状況は、チームとしては良い状況だとは思うものの、意味のあるアクションに繋げるためにはファシリテーションが難しい印象があります。 この破を知っていることで、ふりかえりをより効果的に進めることができるようになるのではないでしょうか。
また、この破のポイントや狙いはKPTだけに限ったことではないので、全体としての型を守りつつどこで破をするとよいのか、その考え方を示してくれているように感じます。
まとめ
前書である「学び編」では、ふりかえりで使えるいろいろなアクティビティに関して、目的や狙い、具体的な方法が森さんらしい表現で書かれているものでした。 本書「実践編」は、森さんらしさはそのままに、ふりかえりの目的に応じて、どのようにアクティビティを繋ぎ合わせ、どのようにふりかえりの流れを作るのかを型として紹介してある本になります。
オススメの本は読む人によって変わってくるのですが、「ふりかえりを始めたい」「ふりかえりで悩んでいる」という人にはまず「実践編」をオススメさせていただきます!
どこで買えるの?
9/22に開催される技術書典 7 で冊子版、DL版ともに購入可能です。
技術書典に行けない方はBOOTHでも購入出来るようになっています。 hurikaeri.booth.pm